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Last updated about 6 hours ago

7月24日 他の個体に感染するナマズのメラノーマ:第4の感染するガン(7月19日Natureオンライン掲載論文)

about 7 hours ago

感染性のガンの存在はイヌを飼っている人には広く知られていると思う。主として交尾中にイヌからイヌへ伝搬し、遺伝子解析からオオカミから存在し、数百年以上にわたって維持されていることが示されている。イヌ以外には、このブログで何度も紹介したタスマニアデビルの顔面に発生する腫瘍で、食べ物を争うときに感染し、一時はデビルは絶滅の危機にまで追い追い詰められた(https://aasj.jp/news/watch/4641)。これに加えて北アメリカのオオノガイの白血病は、細胞が海を漂って他の貝にに感染することが報告されている(https://aasj.jp/news/watch/3246)。 今日紹介する米国・バーモント大学からの論文は、バーモント州のMemphremagog湖のナマズに発見されたメラノーマが感染性であることをゲノムから証明した研究で、4番目の感染性腫瘍の発見になる。タイトルは「Brown bullhead catfish melanoma represents a novel transmissible cancerブラウンブルヘッドナマズのメラノーマは新しい伝搬性のガンだ」」で、7月19日Natureにオンライン掲載された。 この湖では2012年に一部のブラウンヘッドナマズ(BHC)にメラノーマが見つかることが報告された。そして、2014年から2017年にかけてお、なんとメラノーマにかかった個体が23-37%へと上昇し、一般???な個別の個体に発生するメラノーマの頻度をはるかに超えていることがわかった。そこで、第4の感染性腫瘍の発見と考え、19個体のメラノーマと正常脳組織、さらに近くの湖のBHC の全ゲノム解析を行っている。...

7月23日イントロンとスプライシングのない真核生物を作る(7月23日Cellオンライン掲載論文)

1 day ago

実は昨日起床して隣の部屋に行くとき失神し、肋骨を骨折してしまいました。最初脱水による立ちくらみかと思っていたのですが、病院で血圧が高く、130を超す洞性頻脈があることを指摘され、心房細動による血圧低下が原因ではと、一晩病院に泊まり様子を見ました。たまたま炎症再生委学会で講演をする予定だったので、会長の椛島先生にお願いして病院からzoomで講演をしたのですが、初めて10分ぐらいで頻脈が見事に治ってしまいました。結局ホルター心電図を装着して退院する前にこの記事を書いています。肋骨骨折はCTでははっきりわからないのですが3本ほどカクカク言うので、間違いはないと思います。こちらの痛みの方がやっかいそうです。とは言え、今日もおもしろい論文を紹介することが出来ました。 真核生物と原核生物を比べた時、イントロンの存在は真核生物の特徴の一つだ。そして、遺伝子がイントロンを含む場合、必ずスプライシングによって、翻訳される遺伝子を作る必要がある。このようなイントロンやスプライシングの進化を考える時、イントロンのない原核生物を形成して、イントロンの意義を調べるのは一つの方法といえる。 今日紹介する中国科学アカデミー上海生化学細胞生物学研究所からの論文は、イントロンは真核生物にとって必要かという素朴な疑問を、全てのイントロンを出芽酵???ゲノムから取り除くのに成功し、イントロンなしでも真核生物は生きていることを証明した論文で、7月23日Cellにオンライン掲載された。タイトルは「A spliceosome-independent eukaryote generated by complete intron removal(スプライソゾームの必要ない真核生物をイントロンを完全に除くことで作ることに成功した9)だ。 出芽酵母には300のイントロンが存在し、これらを一つ一つ欠損させるとすると、10年以上の月日がかかるらしい。そこで、ランダムにイントロンを導入した後、二つの染色体を持った酵母内での減数分裂時の組み替えでイントロンの除去数を増やす方法で、最終的に完全にイントロンが存在しないSYNE27の作成に成功する。それまでの中間段階の解析もおもしろいが、全て割愛してSYNE27について説明する。 スプライシングが必要無くなってさぞかし楽になったかと思いきや、イントロンが減るにつれて増殖力は低下していく。しかし、SYNE27を正常のゲノムとディプロイドにしても細胞増殖は低下しないことから、増殖にネガティブに働く要因が存在するわけではない。...

4月22日 抗体を用いた分子間相互作用とRNA発現を同時に調べる空間トランスクリプトーム法の開発(7月17日号 Cell オンライン掲載論文)

2 days ago

組織標本上で何千ものRNAやタンパク質の発現を調べたり、あるいはトランスクリプトームを調べたりできる、空間トランスクリプトーム法についてはこのブログでも何度も紹介し、おそらく実験室でも高額ではあっても利用可能なテクノロジーになってきている。そして、次から次へとより困難な課題にチャレンジする研究も生まれている。 今日紹介するシカゴ大学からの論文もこのようなチャレンジの一つで、複数の抗体による染色とVisiumトランスクリプトームを組み合わせて、分子間、あるいは細胞間相互作用が起こっている場所でのトランスクリプトームの変化の解析を可能にする研究で、7月17日 Cell にオンライン掲載された。タイトルは「Spatial proximity sequencing maps developmental dynamics in the germinal...

7月21日 Resident マクロファージ機能と老化(7月16日 Science 掲載論文)

3 days ago

細胞レベルでも、臓器レベルでも古くなった分子や細胞を新しいものに置き換えることが生命にとって必須の過程だ。この過程の異常は老化の重要問題として研究されてきた。まずリクルートする側、即ち幹細胞から分化した細胞の供給が老化で低下することは、だれもが感じる。さらに、最近では老化した細胞を速やかに除去できないと、臓器や個体全体の老化が促進されることが示され、死にかけの細胞の処理を速めるセノリシスによって老化を食い止める方法の開発が進んでいる。ただ最近様々な治験結果が出てきて、人間でセノリシスが老化を抑えるという仮説については再検討が必要なようだ。 今日紹介するスタンフォード大学からの論文は、古くなった細胞を処理する機構を高めて老化を防ぐという点ではセノリシスのアイデアに似ているのだが、処理される細胞が好中球に限られており、古くなった好中球が臓器に溜まると障害を起こすが、これが臓器老化の一因であることを示す研究で、7月16日 Science に掲載された。タイトルは「Restored clearance of senescent neutrophils by tissue-resident macrophages limits...

7月20日 ADC(交代薬物複合体)の効果を高める新しい工夫(7月15日 Nature オンライン掲載論文)

4 days ago

ガンのゲノム解析の重要性は言うまでもないが、RNAの発現や免疫染色も重要だ。例えば私のガンの場合、発現が高い遺伝子としてアンドロゲン受容体とその下流分子が見つかるし、乳ガンで最も研究が進んでいる Her2 とそのファミリー分子も発現している。とすると、状況によっては変異はなくてもこれら分子を標的として使うことができる。 Her2 を標的に使う治療として最近大成功を収めているのが Her2 抗体にトポイソメラーゼ阻害剤や、微小関係性阻害剤を結合させた ADC 治療だ。もちろん抗体が結合する必要があるので、Her2 の発現が高い必要があるが、第一三共のエンハーツは Her2 発現が低い場合も一定の効果があることを証明し、この薬剤の宣伝文句になっている希望を生み出している。しかし、エンハーツでも...

7月19日 Doudnaさんが生成 AI を使ったら:AI と人間の知識の共同作業(7月16日 Science 掲載論文)

5 days ago

タンパク質のデザインに AI が使われるのは珍しくもなんともない。しかし AI の専門家ではない生命科学の大御所が AI を利用した論文は、なかなか味がある。例えばエピジェネティックス研究の大家 Richar Young が ESM2 を利用してタンパク質の細胞局在を予測する方法の開発(ProtGPS...

7月18日 γδT細胞を刺激する新しい自己分子(7月16日 Science 掲載論文)

6 days ago

利根川先生の訃報を聞いたので、新しく Science に掲載されていたカロリンスカ研究所から発表されたγδT細胞を刺激する自己分子の話を取り上げることにした。 大学卒業後、免疫学から始めたので、利根川先生についての思い出は多い。最初はまだ研修医の頃、京都大学胸部疾患研究所の会議室で、凱旋帰国した利根川先生の免疫グロブリン再構成の可能性についてセミナーが行われ、同級生の武藤君と聞きに行った。まだ southern blotting と言う時代ですらなく、DNAの会合・再会合を調べる Cot 解析で、リンパ球のDNAが生殖細胞と異なることを示した話だった。 その後1980年に留学した時は、ちょうど MIT に移られる頃だったが、バーゼル研の利根川研で夜昼なく働いていた同世代の黒沢さん、坂野さんと知り合いになり、帰国後も付き合いは続いた。バーゼル研での利根川さんの様々な逸話は彼らから聞かされたので、いつか彼らの口から語られるのを待とう。...

7月17日 アルツハイマー病の新しい検査と治療(7月15日Nature Medicine オンライン掲載論文他)

7 days ago

今日はどちらもNature Medicineに掲載されていたアルツハイマー病(AD)についての臨床研究を紹介する。 最初のワシントン大学からの論文は環状RNAを用いてADのステージについての正確な診断を行う試みで、7月1日にオンライン掲載された。タイトルは「Blood-based circular RNAs for early diagnosis of Alzheimer’s disease(血中の環状RNAはアルツハイマー病の初期診断に使える)」だ。 これまで症状の出る前からADのリスクを判定できる血中マーカーとしてpTau217が開発され、広く使われるようになった。ただ、アミロイド沈着に依存するため、抗体治療でアミロイドが除去されると病気のモニターに使えなくなる。この研究では神経細胞由来のRNA、とりわけ血中で安定な環状RNA...

7月16日 パーキンソン病の運動障害を改善する薬剤の開発(7月15日 Science Translational Medicine 掲載論文)

8 days ago

パーキンソン病 (PD) はドーパミン分泌細胞が失われることで起こるため、特有の運動障害については Lドーパを服用してドーパミンを補充することが最初の治療になる。ただ、長期に Lドーパを続けると、薬剤が効いている on の時期に不随意運動が起こるディスキネジアと薬剤の濃度が低下した off の時期に PD の強い運動障害が現れるという問題がある。この問題に対する対症療法がないわけでないが、副作用のせいで使用は限定される。 今日紹介するトロントにあるバイオテクベンチャー...

7月15日 大都市のマラリア流行に関わるステファンスハマダラカの移動(7月9日 Science 掲載論文)

9 days ago

マラリアの流行は医学に残された課題だが、通常は田舎に棲息するハマダラカによる感染なので、これを撲滅する努力が、マラリアの治療や予防開発とともに行われてきた。この論文を読むまで全く知らなかったが、これまでの努力が無駄になるほどの危険が、都会に適応したステファンスハマダラカのアフリカでの拡大によりもたらされているようだ。ステファンスハマダラカ (A.s) は、都会の貯水槽などに適応しただけでなく、多くの殺虫剤に抵抗性を持っており、これまで比較的マラリアの流行が低かった都会での大流行の原因になりつつある。 今日紹介するリバプール熱帯医学校からの論文は、アジアからアフリカにかけて集められた A.s のゲノムを調べ、A.s の伝搬ルートを探り、また薬剤耐性の出現過程についても調べた研究で、7月9日号の Science に掲載された。タイトルは「The origin, history, and...

7月14日 染色体異数性による発ガン(7月8日Natureオンライン掲載論文)

10 days ago

私の唾液腺ガンは病理診断もゲノム診断も多形腫がガン化したcarcinoma ex pleomorphic adenomaと診断がついている。比較的珍しいガンで、ゲノムから良性から悪性への転換、そしてリンパ節転移を後押しする変異などがよくわかるが、膵臓ガン、大腸ガン、肺ガンのような、観音ドライバーがはっきりするガンでないことも認識される。17番染色体の片方が欠損しているので、大きな染色体変化がガン化に関わると思うが、この場合ガンのドライバーを見つけることは簡単ではない。 今日紹介するカナダのMount Sinai病院とトロント大学からの論文は、特定の染色体異数性を示すことで知られるトリプルネガティブ乳ガンの中の基底細胞様乳ガンで、異数性を示した染色体にコードされている遺伝子の中から、ガンのドライバーを特定しようとした研究で、7月8日Natureにオンライン掲載された。タイトルは「Aneuploidy selects for the acquisition of driver...

7月13日 シナプス剪定に抗体が関与している(7月9日号Science掲載論文)

11 days ago

2020年、ミクログリアが分泌する補体第一成分C1qがシナプス剪定に関わることを示した論文を紹介した(https://aasj.jp/news/watch/12355)。さらにはC1qはエンドゾームに取り込まれて細胞内でリボゾームの相分離を誘導して翻訳に影響するという突拍子もない論文も発表されている(https://aasj.jp/news/watch/24795)。 このように脳神経回路でのC1qに注目すると突拍子もない話が出てくるようだが、今日紹介するUniversity College Londonからの論文も、今度はC1q依存性のシナプス剪定に抗原特異的な抗体が関わるという、やはり突拍子もない研究で、7月9日Scienceに掲載された。タイトルはズバリ「C1q and immunoglobulins mediate activity-dependent synapse loss in the...